駅に着くと、なぜかホームのベンチに如月くんが座っていた。
「どうして…」
「小春ちゃん言ってたでしょ。今日、東雲の家に行くって。だから迎えに来たんだ」
「…そうなんだ」
如月くんは私をじっと見てから、前髪をかき揚げ、おでこ同士をくっつけた。
「元気ない?」
「そ、そんなことないよ」
「うーそ。僕には分かっちゃうんだからね?」
「………ほんとだよ」
笑って誤魔化すと、如月くんの低い声が聞こえた。
「ねえ、どうしたの?」
顔は穏やかなのに、声で圧制してくる感じが妙に怖かった。
東雲くんが如月くんを怯えてたのって、こういうところがあるからなのかも。



