「…油断禁物。甘く見れば、己の身を滅ぼす」
「はい?」
「僕の父さんの口癖。変でしょう。でも、なんか自分に言われてるような気分になってさ、人生の教訓にしてるんだよね」
ビックリした。自分に言われてるのかと思った。
如月くんに心を許してる。それは油断してるってことになる。
別に油断しきってるわけじゃない。
ヤンデレだし、それなりには警戒してるけど…どうしてか如月くんといると気持ちが高ぶって、おかしくなるんだよね。
「でも本当に安藤さん、危ないよ。恋愛経験ゼロの人は他の人より経験値ないから変な男に嵌まりやすいって言うじゃん。もちろん、如月のことを言っている訳じゃないけど、さすがに警戒した方がいいよ」
軽くディスられたような気もしたが、まあ許す。
だって、東雲くんの本当に心配したような話し方で分かるもん。私のこと、心配してくれてるって。
「……分かった。警戒心持つようにする」



