「小春ちゃん、正気?」
いやいや、監禁したいとか言ってる如月くんには言われたくないよ。
「正気だよ。私はどうなってもいい。如月くんに私の気持ちと覚悟を知ってもらえればそれでいいの」
私は今まで中途半端な“好き”で如月くんのカノジョをしてきた。
でも、それじゃダメだって気づいた。
如月くんは心のどこかで誰かに愛してほしいから好きになった子に尽くしてたんだよね?
だから、行き過ぎた愛になっちゃったんだよね?
如月くんは私にたくさんの思いをくれた。
これまで無色だった私の世界に彩りをもたらしてくれた。
次は私の番なんだ。
私が如月くんを幸せにしたいの。
「小春ちゃん…!」
いつもより強く抱き締められた。
だけど優しくて。
「愛してるから。離さないから…!」
如月くんの瞳から大きな雫が溢れた。
それが頬を伝って、私の肩に落ちる。
如月くんが初めて私の前で弱いところを見せてくれた。
いつも完璧にしてどこか遠いと思っていたのにやっとその仮面を外してくれた。
私は初めて“如月くん”を見た。



