本棚の影に隠れた私は如月くんも出ていくのも待っていた。
でも、なかなか出ていってくれなかった。
「ねえ、いるんでしょ?小春ちゃん」
「…なんで」
「分かるよ。だってカレシじゃん?」
如月くんの顔は笑っていたけど、心の底からは笑っていなかった。
怖い、こういうときの如月くんが1番怖い。
「本当に小春ちゃんって悪い子だよね」
「へ?」
「お友達の心配ばっかして。少しは自分のことを心配しないとすぐに食われちゃうんだからね?」
「き、如月くん…」
どんどん距離は縮まり、如月くんは私の目の前に立った。
少し動けばキス出来るくらいの距離。
「僕はもう嫉妬でどうにかなりそうなんだよ…」
如月くんは上着を無造作に置くと、ネクタイをするっとほどいた。
え?何?
怖くなって目をつむると、その上着の上に押し倒された。
「これなら汚れないでしょ?」
全く理解出来なかった。
今、何が起きているかなんて。
「小春ちゃんのこと、だーいすき」
「……んっ」
強引にキスされて、涙が出てきた。
何でこんなことするの?



