その時、また窓から風が入ってきて、パタンッとなにかが倒れた。
振り返ると、床に写真立てが落ちていた。慌てて拾い上げて、ガラスが割れていないか確認する。
……よかった。大丈夫みたい。
見るつもりはなかったけれど、自然と写真に目を止めてしまった。
そこには白いワンピースを着て笑っているひとりの女性が映っていた。
優しい笑顔を浮かべていて、すごくすごく綺麗な人だった。
一瞬で目を奪われてしまって、写真に見入っていると……。
「なにしてんだよ」
突然、後ろから声がして、ビクッとした。
「こ、聖、なんで……」
もしかして、私がモタモタしてたから、様子を見にきてくれたのかな?
「なんでって、ここ俺の部屋だし」
「ええ?」
私は瞬きの回数が多くなる。
ま、待って。ここって昴さんの部屋じゃなかったの?てっきり私はそのつもりでいたんだけど……。
「兄貴の部屋はあっちの突き当たり。つーか窓の外を見れば普通に分かるだろ」
「窓の外?」
言われて外を見ると、そこには見覚えのある部屋があった。
カーテンを閉め忘れたらしく、中が丸見えで、ベッドには脱ぎっぱなしになっている部屋着までもがよく確認できる。
……どう見ても私の部屋だ。
というか、こんなに聖の部屋から丸見えなの?
恥ずかしいを通り越して、普通に泣きたい。