「もしかして……なにかされたの?」
昴さんが不安そうに私の頬に触れる。
大きな手が優しくて湿布で冷やされた右足までまた熱くなっていくような感覚がした。
「も、もう……!どうして晶くんといい昴さんといい私にそんなに触れてくるんですか?」
恋愛初心者をなめないで欲しい。
ふたりは女子の扱いに慣れてるかもしれないけど、私は全然慣れてないんだから。
「だって茉莉ちゃんが可愛いから」
「可愛くないです」
「可愛いよ?」
「だから可愛くないって……っ」
大声を出した瞬間に体勢を崩しかけて、また昴さんに支えられてしまった。
顔が昴さんの胸に当たっている。
「茉莉ちゃんは危なっかしくて目が離せないよ」
こんな日常が続いたら私の心臓は間違いなく崩壊してしまう。
今、授業に戻っても中途半端な時間だし、昴さんも体育館に戻る気配はない。
わずかな沈黙。そして……。
「嬉しいんだよね。晶も俺も」
昴さんは床から立ち上がって、向こうからクルクル回る椅子を持ってきた。
それを私の前に置くと対面するように見つめ合う。



