それを見ていた女子たちは「一条兄弟が喧嘩してるとか萌える!」と言って、食い入るように試合を観戦していた。
萌えるとか……私にはその感覚が理解できない。
でも、普段あまり動かない聖が体を動かしてるなんて、なんだかすごくレアな感じがする。
「茉莉はどっちの応援?」
隣で景ちゃんに聞かれた。
「えー応援って練習試合だし」
「私は昴さんかな。頭が良くて外見も良くて、あんなに完璧な人が世の中にいるんだね」
うんうん、と私も同意。
おまけに料理上手だし、私に対しても常に優しい。
チームプレーなのに昴さんが得点を入れると女子は盛り上がって、そのボールを聖が奪うとまた体育館が湧く。
聖とは昨日から口を効いてないし、気まずい雰囲気のままだけど、一応同じクラスだし、自然と目で追ってしまう。
……なんだかなあ。
あれで運動音痴だったら鼻で笑ってあげるのに、簡単にカッコよく得点も入れちゃうし、ちょっとムカつく。
結局、試合は同点で引き分けだった。
ふたりは息ひとつ切らしていないのにチームメイトの男子はヘロヘロで、さすが人間離れしてるだけはある。
「あれ、ひとつゼッケンが足りない」
次は女子の試合の番。次々と赤のゼッケンを付けていく中で、私の分がない。
「じゃあ、用具室に取りに行ってくるよ」
「一緒に行こうか?」
「はは、平気」
景ちゃんに笑顔でそう言って、私は用具室へと走った。



