準備をして外に出ると、昴さんは晶くんの後ろ襟を引っ張って叱ってくれていた。
「おはよう茉莉ちゃん。晶がごめんね」
当の本人は反省してるどころか、明日も普通に侵入してきそうな勢いだ。もはや諦めるしかないのかなって思う……。
「あ、そうだ。これお弁当」
「ええ?また作ってきてくれたんですか?」
昴さんの優しさに感激しながら、チラッと聖のことを確認する。
低血圧なのかボーッとしていて、一度も目が合わない。
まだ、昨日のこと怒ってるのかな……。
でも私は悪くないっていうか、聖のキレるスイッチがよく分からないけど、きっと彼にとって〝アレ〟は余計なことだったんだと思う。
「あ!まりりん、またため息!」
晶くんが頬をツンツンして構ってアピールをしてきた。私は抵抗せずに、されるがまま学校へと向かった。
「ってかあの子って本当になんなの?いつも三兄弟と一緒にいて不公平じゃない?」
また黄色い声に混ざって聞こえてくる私への批評。
「たいして可愛くもないくせにさ」
「あの顔で三人と並ぼうなんて100年早いっつーの!」
言われなくても分かっております。
靴箱を開けると〝佐崎茉莉ウザイ〟と書かれた紙が入っていた。
こういうのは一時的だって分かってるけど、普通にへこむ。
「気にすることないからね。こんなのうるさい女子たちの嫉妬なんだし」
そう言って男前に、紙を丸めたのは……。
「うう……景ちゃん」
景ちゃんはまるで彼氏みたいに頭を撫でてくれて、私も応えるようにギュッと腕を掴む。
ああ、やっぱり景ちゃんが男の子なら確実に私は惚れている。
少なからず朝から無言で教室まで一直線の男よりよっぽどイケメンだよ。



