「もう!急にやめてよ。ビックリするじゃん!」
私はそう言って、お弁当の続きを食べはじめる。
「ビックリなの?ドキドキじゃないの?」
晶くんはちょっとムッとしていた。その顔もやっぱり可愛くて、イメージがそこから離れない。
「晶くんは年下だし、可愛い弟みたいだからドキドキというよりキュンキュンするかなー」
母性本能をくすぐるから、晶くんが年上にモテる理由がわかる。
「……へえ、弟、ね」
晶くんの声色が変わった瞬間に、いきなり両腕を掴まれて、そのまま壁に押し付けられた。
可愛いくせに力が強くて、晶くんが右手だけで私の腕を拘束している。
「あ、晶……くん?」
またイタズラのつもり?
だけど掴まれてる手が熱くて痛い。
「弟なんでしょ?だからこうしてじゃれ合うのも姉弟愛だよね?お姉ちゃん」
晶くんの手が私の足に触れる。
「……っ」
その手はだんだんと這うように上へと上がってきて、ついに指先は私の太ももに。
「あ、晶くんっ!」
いくら名前を呼んでも、晶くんは止めてくれない。
「俺がいつもこの静かな体育館で、なにしてるか知りたくない?」
ドキッとするような表情。
それは可愛いというより、とても悪い顔をしていて、力も言葉も完全に男の子だった。
晶くんの手が私のスカートの中へと入ろうとしたから、慌ててそれを食い止める。



