「……な、なに?」
 
まさか顔になにか付いてる?

ご飯粒?それとも虫?

ペタペタと顔を触って確認したけど、たぶんなにも付いてない。


「お前……変わってんな」

ポツリと一条聖が呟く。


「わ、私が変わってるっていうなら一条くんだって……」

「一条くんってやめろ。みんな一条だからなんか気持ち悪い」

「じゃあ……聖くん?」

「聖でいい。あとお前、部屋のカーテンは閉めて着替えろよ」

「へ?」

ま、まさかあの時……!
 
「ちょっと!ふたりでなに話してんの?俺らも混ぜてよー!」

と、そこへ議論が終わった晶くんと昴さんがやってきた。


結局、そのあと四人で楽しくお喋りをして、お母さんからのメールで時間がすでに22時を過ぎてることに気づいた私は家へと帰った。


こっそりと自分の部屋のベランダを確認すると、小さな小石が落ちていた。

……ああ、やっぱり聖に見られてた。絶対に。


おそらく、真向かいは聖の部屋。そして1階のキッチンでは昴さんがきっと後片づけをしていて、晶くんはお風呂に入ってる。

お隣さんだと明かりがついてる箇所を見るだけで、なにをしてるか想像できてしまう。


今日は色んなことがありすぎた。

まだ少しだけ夢心地でいる。

だけど一条三兄弟とこれからなにが起こっていくのか。

普通の日常が少しだけ変わっていく気がして、ちょっとワクワクしていた。