「ったく。気持ち悪い勘違いしやがって」
私に引っ付いてる晶くんを剥がしながら、聖がため息をついていた。
……なんだ、そうだったんだ。
私はてっきり聖に彼女が出来てしまったんだって、立ち直れないほど落ち込んでいた。
「ふっ、あはは」
ヤバい。安心したら笑えてきた。
「まりりんが壊れちゃった……」
「お前のせいだろ」
ふたりのそんな会話でさえ、涙が出るほど可笑しすぎる。
「おーい。ご飯冷めちゃうよ!」
そんな声にベランダを見ると、昴さんが私たちのことを呼びにきていた。
「お前は勘違いさせた罰として手伝ってこい」
「えー、まだまりりんの部屋にいたい!」
「行け」
「もう、分かったよ……!」
晶くんが渋々といった顔で、ベランダを越えて家に戻っていった。
部屋が急に静かになると、勘違いしてたことが面白いというより、恥ずかしくなってきた。
「ごめん。私、勝手に怒ったりして」
自分がこんなに子供っぽいと思わなかった。他のことなら冷静になれるのに、聖のことになると平常心ではいられない。



