もう、イヤだ。こんな気持ち……。

自分の部屋に入って、力が抜けたようにベッドに倒れた。

枕に顔を埋めて目を閉じていると、カンッとなにかが窓に当たった。無視しても、再びカン、カンッと石を投げてくる。

布団にくるまって、窓に背を向けていると……。


「おい」

そんな声がして、私は目を丸くさせた。


「無視してんじゃねーよ」

それは石を投げてきていた聖だった。

反応がない私に痺れを切らせてベランダを乗り越えてきたらしい。
 

「……入ってこないでよ」

ふて腐れて八つ当たりなんて、本当に子供みたい。


「なに怒ってんの?」

「怒ってないし」

「怒ってるだろ」

聖のことを縛る権利なんて、私にはない。頭では分かっているのに、悶々とした気持ちが消えてくれない。
 

「……私、見たの。今日、さっきの人とデートしてたでしょ?」


本当にショックだった。

見たくなかった。

聖と私なんて、全然釣り合わないことは分かっていても、彼の一番近くにいるのは自分がいいと思ってしまう。