景ちゃんとの買い物を終えて、家へと帰宅した。

お洒落な景ちゃんに洋服をたくさん選んでもらったので大満足!……のはずなのに、気持ちはどんよりと沈んでいた。

聖の隣にいた人の顔はよく見えなかったけど、ものすごく美人だったことは間違いない。

妹というオチはないし、ましてやお姉さんもいない。

ああ、お姉さんで思い出したけど、そういえば今日は昴さんから『晩ごはんを食べにおいで』と誘われているんだった。

昴さんのご飯は美味しいし、楽しみにしていたことでもあったけど、なんだか気が重い。

だって、どういう顔して聖に会えばいいの?

見てしまった以上、知らん顔なんてできないし、他の女の子とデートしてたんだって思うと、泣きそうになってくる。

食事は断ろうと思ったけど、昴さんの性格を考えればすでに用意を済ましている時間。

私のワガママな理由で食材を無駄にしたくないし、約束も破りたくなかったから、私はため息をつきながら、お隣の一条家に向かった。


「茉莉ちゃん。いらっしゃい」

インターホンを押して、出迎えてくれたのは昴さんだった。

ドアを開けた瞬間から漂ってくる晩ごはんのいい香り。

ほら、用意してた。よかった。断らなくて。


「あの、聖は?」

「まだ出掛けてて帰ってきてないよ」

「そうなんですね……」

……まださっきの人と一緒にいるのかな。胸がチクリと痛む。