「ま、茉莉。ごめん。私、さっきのは冗談で言ったつもりだったんだけど……」

聖が女の子と歩いていたことを、私以上に景ちゃんは気にしてくれていた。

聖に親しい女の子なんて、いないと思ってた。ましてや休日に出掛けるほどの仲の人なんて……。

自分が一番親しいなんて思っていたわけじゃなかったけど、それでも聖が誰かに取られてしまうなんて、考えたことはなかった。

聖は気軽に女子と遊びにいくタイプじゃないので、もしかしたら、すでに付き合ってる可能性もある。

……全然、まったく、知らなかった。


「大丈夫?」

ぼんやりとしてる私に、景ちゃんが心配そうな顔をしてる。


「だ、大丈夫だよ! 聖にいい人がいなんて気づかなかった。誰だろうね?美女だったなあ」

私はあえて空元気を出して、明るく振る舞った。