霧島くんは噛まれていた喉を押さえながら、立ち上がった。
その首をコキコキと左右に鳴らすと、あんなに深く噛まれていた傷跡がもう塞がりかけている。
「ひ弱な人間と体の作りが違うんだよ」
たしかに回復は早いけれど、疲れた表情をしていた。
聖の傷跡はまだ治ってないけれど、血はほとんど流れていないから、聖の体の治癒力も早いようだ。
「まったく。あのまま噛み殺してくれたらお前にとって一生のトラウマを植え付けることができたのにな」
気づけば辺りは暗闇から朝焼けに変わっていた。もうすぐ太陽が東の空から昇ってくる。
不気味だった神社も明るい場所で見ると印象が違う。
月日を感じさせるほど、あちこち錆びれているけれど、まだ鮮やかな色も所々に残っている。拝殿も境内も大きくて広くて、とても立派な神社だった。
「……う……」
と、その時。聖が突然、苦しそうに胸を押さえていた。
「こ、聖?どうしたのっ!?」
なんだかとても息苦しそうで、手を触ると火傷しそうなぐらい熱かった。



