「ふたりにこんなことしてアンタの目的はなんなの?いい加減にしてよ!早くふたりの術を解いて……っ!」
悔しくて瞳から涙が溢れる。
「ふたりを救いたいなら、俺の言うとおりにしろ」
霧島くんはそう言って私の体に触れようとした。その時――。
「これ以上、お前の好き勝手にはさせねーよ」
その腕を聖が鬱血するほど強く掴んでいた。
それを見たカラスたちは聖を攻撃する体勢になったけれど、霧島くんが〝待て〟と右手を挙げると嘘のように静かになった。
「好き勝手にさせないなんて臆病者のお前にそれを食い止める力があるのか?ないだろ?狼になることをいまだに恐れ続けているお前になにができるって言うんだ?」
「………」
「力が暴走するのが怖いのか?それとも制御できる自信がないのか?」
霧島くんの言葉に聖はずっと黙ったまま。
聖がまだ狼なることを拒んでいることは分かっている。
お母さんのことを私に打ち明けてくれたからといって、簡単には揺るがない気持ちがあることも。
そんな聖の心の内側を読んだように、霧島くんは呆れた顔をしていた。



