「つーか狭いんだけど」
「ゲホゲホッ!ほこりっぽい!」
たしかに聖が狭いと文句を言うのも、晶くんがむせてしまうのも分かる。
密室された空間には陸上部が使うハードルや三角コーン。他にもサッカー部や野球部の備品が置いてあって、運動部特有の汗の匂いもわずかに漂っている。
なにより、体が大きい三兄弟との密着度が半端なくて、私の心臓がもたない。
「仕方ないだろ。ここは窓がないし扉を締めれば完全な密室になる。声ももれないし、学校で話し合うにはこの場所しかないんだよ」
まるで昴さんは誰かから監視されてるみたいな言い方をしていた。
「それでなにを話すんだよ?」
聖の質問に、私と晶くんも頷く。
「最近やたらと見られているような気がしてたから、ちょっとひとりで調べてみたんだ」
メガネ越しの昴さんの瞳が鋭くなった。
三兄弟の中で昴さんが一番物事を冷静に見ることができるし、色々な変化にも敏感に気づく。
平静を装いながらも、実は色々なことを想定して昴さんは準備していたのかもしれない。
「おそらく、学校の周りにいるカラスや茉莉ちゃんのベランダにいたカラスは野生じゃない。誰かに飼われているか、誰かに指示されて動いているかのどっちかだと思う」
ゾクッと背筋が寒くなる。
そうじゃなきゃいいのにと思っていた自分の予想が言い当てられてしまったから余計に。



