――ピンポーン。
インターホンを鳴らしてみたけど反応がない。さらにもう一度鳴らして、懲りずに3回目も鳴らすとスピーカーから声が聞こえてきた。
「うるさい、開いてる」
それは聖の声だった。
玄関のドアに手を伸ばすと、たしかに鍵は開いていた。おそらく入ってもいいという意味だと解釈して、私は家に上がった。
この時間帯だと、いつも昴さんが作る料理の匂いがしてくるのに今日はしない。
リビングに明かりが付いていたので、私はそっとドアノブに手をかけた。
……誰もいない。
テレビもついてないし、料理はおろか換気扇すら回っていなかった。
とりあえずお母さんが持たせてくれたタッパーをテーブルの上に置いて、辺りをキョロキョロと見渡してみる。
……さっき聖が対応してくれたのに、どこに行ったんだろう。自分の部屋かな?
「おい」
「ひゃあっ……」
急に後ろから声がして、思わずヘンな声が出てしまった。
「も、もう!脅かさないで……」
文句を言いながら振り返ったのはいいけれど、私の視線は一瞬にして固まった。
なぜなら聖が裸だったから。もちろんズボンは履いているけど、上半身はなにも着ていない。
しかもお風呂上がりのようで、髪の毛は濡れていて、まつ毛にもまだ水滴が残っていた。