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そして重たい気持ちを抱えたまま夕方になった。台所ではお母さんが料理を作っていて、私はリビングのソファに座っていた。


「茉莉。これお隣の一条さん家に届けてくれない?」

家族だけで食べるにはずいぶん多いなと思っていたけれど、どうやら最初から聖たちに分けるつもりだったようだ。

タッパーはLサイズのものが3つ。あら熱を逃がした料理をお母さんが次々とタッパーに詰めていた。


「いいけど、なんで急に聖たちのぶんまで作ったの?」

「今日スーパーの帰り道に晶くんと会ってね。いつもは昴くんが家事をやってるって聞いてたのに、晶くんが買い物してるからヘンだなって思って声かけたのよ。そしたら昴くんが体調を崩して料理が作れないって」

「ええ!?」

私の声がリビングに響く。


昴さんが体調を崩したって……。原因はひとつしか思い浮かばない。

やっぱり今日の罰則が相当キツかったんだ。

もう大丈夫だからって、昼休みの時はそのまま別れちゃったけど……。あの昴さんが料理を作れないなんて、よっぽどのことだ。

私はタッパーを入れた紙袋を抱えて、そのまま一条家へとダッシュした。