まだ、涙で濡れたままの目でソニアはレオンティーナを見つめる。そこには、かすかに希望の色が浮かんでいた。

「しつこいわよ。私、しつこいのは嫌なの……そうね。それじゃ、お菓子でも食べましょ。それから……」

 レオンティーナは、満足していた。
 少なくとも、ソニアは手元に引き取ることができた。もちろん、前世での恩を今の人生で返すというのは少し違うかもしれない。
 だが、ソニアならばこれから先の人生、レオンティーナの手足となって働いてくれるだろう。
 これが、大きくヴァスロア帝国を動かす一歩になることを、この時のレオンティーナはまだ気づいていなかった。