美しいドレスに身を包み、ダンスに興じ、美酒と美食に酔いしれた。
 明るい皇宮の外では、飢えた民が死んでいることなど知りもせずに。
 最後の夜に出されたのは、マレイモの入った野菜スープだけというなんとも寂しい食事だった。落ちぶれていったレオンティーナの人生を象徴しているようだ。

(……だから、なんだっていうの?)

 知らなかったのだから、仕方ない。
 知っていれば、もう少し違う行動をとったかもしれないけれど、そんなの今さら考えてもしかたのないことではないか。
 床についても眠ることなんてできず、レオンティーナは天井を見つめていた。

(……私の人生、なんだったというのかしら)

 結局、一睡もせずに最後の朝を迎えることとなった。
 明るくなってくれば、レオンティーナの人生が終わるまではあと少し。
 朝食は出されず、ソニアが持ってきてくれた湯で、顔と身体をぬぐう。それだけで、少しさっぱりした気分になった。

「――御髪を整えますね」

 この陰鬱な牢獄でも明るかったソニアの茶色の瞳も、今日ばかりは沈鬱な色を浮かべている。

「あなたにまかせるわ――見苦しくないようにしてちょうだい」