『お父様に会いたいです。お母様と一緒にロアに行ってもいいですか?』

 という一文だった。
 これで父が動かないようなら、何か他の手を考えなくてはならない。
 けれど、事態はレオンティーナの予想通りに動く。
 レオンティーナの手紙を受け取った父は、小躍りして喜んだ――というのは、父の側仕えがあとからこっそり教えてくれたことだ。
 レオンティーナと母が、ロアに向けて旅立ったのは、父宛の手紙を書いてから一月後のことだった。