前世では、レオンティーナは十二歳の誕生日を迎えるまでほぼずっと領地にいた。
十二歳になって初めてロアを訪れたのは、第二皇子であるアンドレアスとの婚約が決まったからだ。
(そうなってからじゃ、遅いのよ。その前に、なんとかしてロアに行かないと……)
バルダート領は、ロアからは一週間ほどの距離にあるが、その一週間というのが非常に大きい。
(……ロアの方が勉強がはかどる――と言った方がいいかしら)
そんなことを思いながら、父からの手紙を開く。
父からの手紙は毎回母の分とレオンティーナの分、二通が入っていた。
レオンティーナへの手紙には、父は正直に自分の気持ちを記している。
『宮中に戻ったが、エレインのように美しい女性はいない。早く会いたいと思って、一生懸命仕事を片付けているよ』
どんな顔をして、父はこれを書いたのだろう。
だんだん頭が痛くなってきた。
たぶん、この夫婦がすれ違ってしまったのは、父が腰抜けなのがいけないのだ。
身分の高い家から嫁いできた母に気兼ねをし、気を使いすぎて、逆に距離が離れてしまった、ということなのだろう。
十二歳になって初めてロアを訪れたのは、第二皇子であるアンドレアスとの婚約が決まったからだ。
(そうなってからじゃ、遅いのよ。その前に、なんとかしてロアに行かないと……)
バルダート領は、ロアからは一週間ほどの距離にあるが、その一週間というのが非常に大きい。
(……ロアの方が勉強がはかどる――と言った方がいいかしら)
そんなことを思いながら、父からの手紙を開く。
父からの手紙は毎回母の分とレオンティーナの分、二通が入っていた。
レオンティーナへの手紙には、父は正直に自分の気持ちを記している。
『宮中に戻ったが、エレインのように美しい女性はいない。早く会いたいと思って、一生懸命仕事を片付けているよ』
どんな顔をして、父はこれを書いたのだろう。
だんだん頭が痛くなってきた。
たぶん、この夫婦がすれ違ってしまったのは、父が腰抜けなのがいけないのだ。
身分の高い家から嫁いできた母に気兼ねをし、気を使いすぎて、逆に距離が離れてしまった、ということなのだろう。



