悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~

 ――それに、もうひとつ。
 バルダート家が、三大公家の中でも末席であることを踏まえると、レオンティーナが女帝になるために蹴散らさなければならないライバルは多い。
 皇子達や皇女達だけではなく、のちにヴィルヘルムの妻となるシャンテール大公家の娘もそうだ。

(でも、やると決めたんだもの)

 やってやれないことはないはずだ。
 前世の知識もあるし、今回は自分でできるところまでは自分の能力を伸ばすつもりでもいる。

「ティーナ、君のおかげだよ。エレインとは、うまくやっていくことができそうだ」
「お父様、それは希望的観測が過ぎるというものだわ」

 まったく、この父にも困ったものだ。女性の心に疎すぎる。
 娘の存在を完全に忘れて、食堂に戻ってこなかったあたり、昨夜はとても楽しかったのだろうという想像はできる。
 レオンティーナは放置されたところでどうということはないが、普通、八歳の子供なら、両親が出て行った食卓で泣いてもおかしくはないところだ。

「お母様は、寂しがりなのよ。今までみたいに、年に数度戻ってくる程度で満足するはずないでしょ」