「言葉の通りよ。お父様が、大切なことを何も言わないから、お母様もいらいらするのよ。愛しているのでしょ?」
レオンティーナの言葉に、父はゆでだこのように真っ赤になった。大人の男性でも、こんなに一気に真っ赤になるのかと感心するくらいだ。
「な、な、何を言って――!」
「違うの? 侍女達が噂してたのに。お父様は、お母様のことが大好きだけれど、ええと……なんだったかしら」
わざとらしく、頬に手を当てて考えるそぶりをする。
「そうそう、”へたれ”よ! 庶民の言葉で、お父様のような男性のことをへたれと言うそうですよ!」
「へ、へたれ……そんなわけないだろう」
前世、牢でソニアから教わった言葉だったから、どこでそんな言葉を覚えてきたのか、問われなかったのは幸いだった。
「それなら、お母様を追いかけて!」
それでも動かず、こちらをじっと見ている父を、レオンティーナはにらみつけた。
「さっさと行く! でなければ、お母様の気持ちはよそに行ってしまうわよ?」
その言葉が終わる前に、父は身をひるがえして食堂を出て行った。
「――エレイン!」
レオンティーナの言葉に、父はゆでだこのように真っ赤になった。大人の男性でも、こんなに一気に真っ赤になるのかと感心するくらいだ。
「な、な、何を言って――!」
「違うの? 侍女達が噂してたのに。お父様は、お母様のことが大好きだけれど、ええと……なんだったかしら」
わざとらしく、頬に手を当てて考えるそぶりをする。
「そうそう、”へたれ”よ! 庶民の言葉で、お父様のような男性のことをへたれと言うそうですよ!」
「へ、へたれ……そんなわけないだろう」
前世、牢でソニアから教わった言葉だったから、どこでそんな言葉を覚えてきたのか、問われなかったのは幸いだった。
「それなら、お母様を追いかけて!」
それでも動かず、こちらをじっと見ている父を、レオンティーナはにらみつけた。
「さっさと行く! でなければ、お母様の気持ちはよそに行ってしまうわよ?」
その言葉が終わる前に、父は身をひるがえして食堂を出て行った。
「――エレイン!」



