(お母様も、まんざらではなかった気がするのよ)
そうでなければ、皇妃にだってなれたかもしれない女性が格下の家には嫁がなかったのではないだろうか。
今になってみれば、そうとしか思えない。
(……これは、お父様の責任が重大よね!)
破滅への道から、少しでも遠ざかりたいのなら――まずは、家族の関係から修復だ。父に、愛人なんて作らせたりしない。
「と……とりあえず、食事をすませてしまおうか」
気を取り直した様子で、父はレオンティーナに気弱な笑みを向けた。
だめだ、女心がわかっていない。
「――お父様、お母様を追いかけなくていいの?」
娘の口から出てきた言葉に、父は手にしていたナイフとフォークを取り落とした。
皿にあたり、ガシャンと聞くにたえない音が響く。
「なんだって、ティーナ」
「私を叱るんじゃなくて、お母様を追いかけた方がいいわよ。部屋には入れてもらえないかもしれないけど」
しれっとして、ローストビーフを切り分けながらレオンティーナは言い放った。
勢いよく立ち上がった父は、テーブルに手をついてレオンティーナをじっと見ている。
「どういう意味だ?」
そうでなければ、皇妃にだってなれたかもしれない女性が格下の家には嫁がなかったのではないだろうか。
今になってみれば、そうとしか思えない。
(……これは、お父様の責任が重大よね!)
破滅への道から、少しでも遠ざかりたいのなら――まずは、家族の関係から修復だ。父に、愛人なんて作らせたりしない。
「と……とりあえず、食事をすませてしまおうか」
気を取り直した様子で、父はレオンティーナに気弱な笑みを向けた。
だめだ、女心がわかっていない。
「――お父様、お母様を追いかけなくていいの?」
娘の口から出てきた言葉に、父は手にしていたナイフとフォークを取り落とした。
皿にあたり、ガシャンと聞くにたえない音が響く。
「なんだって、ティーナ」
「私を叱るんじゃなくて、お母様を追いかけた方がいいわよ。部屋には入れてもらえないかもしれないけど」
しれっとして、ローストビーフを切り分けながらレオンティーナは言い放った。
勢いよく立ち上がった父は、テーブルに手をついてレオンティーナをじっと見ている。
「どういう意味だ?」



