悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~

 これは、皇位の継承順にも関わってくる。レオンティーナが前世でアンドレアスに嫁いだのも、当時はアンドレアスは皇太子ではなかったからという理由が大きかった。
 皇太子ヴィルヘルムに嫁いだのは、シャンテール大公家の娘で、未来の皇妃として宮中でも強い権力を持っていた。
 当時のレオンティーナはそれを許すことができず、ヴィルヘルムが暗殺されたあと、アンドレアスが皇太子となった時に、シャンテール大公家の娘を宮中から追放した。
 それもまた、レオンティーナが前世で悪女と呼ばれた要因だろう。

(……宮中の女の人達は、なんて噂してたかしら)

 三大大公家のことについては、面白おかしく噂話にされることが多い。
 夫婦仲、子供の出来について、親戚関係――領地で起こった問題についても、だ。
 レオンティーナは、食卓のぎすぎすとした空気は気にも留めず、自らの追憶に沈み込む。

(そうよ、お母様はヴェルテ大公家の娘。そして、本来なら皇帝に嫁げる身分だった。でなかったら、今のシャンテール大公でもよかったはず)

 三大大公家とはいえ、末席の父に母が嫁いだ理由は、社交界の噂でしか知らない。