悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~

 馬車は来た時同様、大急ぎで皇宮めがけて走っていく。そんな中、ルイーザは口を開こうとはしなかった。

「ヴィルヘルム様は、どんな具合なのでしょう?」

 レオンティーナの問いにも、ただ、首を横に振るだけ。
 きっと、彼女も詳しい状況は知らされていないのだ。
 それはわかっていても、レオンティーナもハラハラせずにはいられなかった。

(どうか、無事で――)

 そんなに信心深い性質ではないと思っていた。
 最後に神に祈りを捧げたのはいつだろう――思い返して、苦い笑みを浮かべた。

(最後にここまで真面目にお祈りしたのって、処刑の時だったわ)

 前世、首に刃が押し付けられたあの時。
 儀礼的に祈りをささげることはあったけれど、レオンティーナが真面目に祈りを捧げたのは、あれが最後だった。
 自分でもどうかしていると思う。調子がよすぎだ。

(――それでも。神様――あなたが、私をこの世に引き戻したのが、あなたの御心のなせる業なのだとしたら)

 まだ、レオンティーナは何も始めていない。
 どうか、どうか――ヴィルヘルムが無事でありますように。