悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~

 名を呼んだだけで、具体的な命令は出していないのに、即座に部屋を飛び出していく。
 レオンティーナは窓から、誰の馬車なのかを確認しようとした。
 皇帝一族であることはわかる――皇帝一族の紋章の横に、百合がつけられている。あれは、ルイーザの印だ。

(ルイーザ様の馬車が、あんな勢いで飛び込んでくるなんて!)

 まさか、誰かが反乱を起こして、ルイーザは皇宮を追われたとか――皇帝が崩御したとか――。

(いえ、一番考えられるのは)

 皇妃に命を狙われていたヴィルヘルムの身に、何かあったというのではないだろうか。
 淑女としてのたしなみも忘れ、レオンティーナもまた部屋を飛び出した。
 日頃はしずしずと歩く長い廊下を、勢いよく走り抜け、玄関ホールに続く螺旋階段を駆け下りる。
 レオンティーナが玄関ホールについた時には、玄関の扉が開かれ、馬車の持ち主が、転がるようにして馬車を降りてくるところだった。

「――レオンティーナ! お兄様が、刺客に襲われて……!」

 それきり、ルイーザは言葉が続かない様子だ。ここに来る馬車の間でも、気を落ち着けるだけで精一杯だったのだろう。