悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~

 ヴィルヘルムと自分の間にある高い壁を、どうやって乗り越えたらいいのかわからない。
 自分が皇帝になるしかないと思っていた。
 けれど、ヴィルヘルムは前世の心の優しさはそのままに、前世は持ち合わせていなかった強さまで持つ青年に成長した。

(――それならいっそ、ヴィルヘルム様にお任せした方がいいんじゃないの……?)

 ヴィルヘルムを側で支える忠実な家臣となる。そんな未来を最近では思い浮かべるようになった。
 レオンティーナにその資格があるかどうかはわからないけれど。

「――お茶を用意しましょうか」
「ええ、お願い」

 レオンティーナが、ソニアに答えを返した時だった。
 窓の外から、屋敷に向けて全力疾走してくる馬車が見えた。

(あら、あの馬車は……)

 どこの馬車か見てとったとたん、レオンティーナは血の気が引くような気がした。
 あの馬車につけられているのは、皇帝一族の紋章だ。

「ソニア!」

 レオンティーナの声の鋭さに、ソニアもただ事ではないとすぐに理解したようだ。

「かしこまりました!」