悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~

 愛称で呼ぶのを許しているのは、ほんの一時のことなのに。
 言葉を失ってしまって、ただ唇をかみしめていると、もう一度ヴィルヘルムの唇が寄せられる。

(……もう、認めないといけないんだわ)

 レオンティーナも、彼に好意を持っているということを。
 今度は黙って、彼のキスを受け入れた。

「君も、身の回りには注意して。君には利用価値があるから無事だとは思うが」
「……ヴィルヘルム様の方が心配です」

 ――どうして。
 どうして、こんなにも弱くなってしまったのだろう。
 けれど、それに対する答えをレオンティーナは持ち合わせてはいなかった。
 

 ◇ ◇ ◇

 

 暗殺の危機をヴィルヘルムに知らせたあとも、レオンティーナは変わらない日々を過ごしていた。
 というか、そう過ごしているように見せかけていたという方が正解である。
 乳母もやとってはいるが、母は、ハイラムの育児で手一杯なために、ロアにある屋敷の切り盛りは、レオンティーナに任されている。