悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~

 だが、ヴィルヘルムが手を打っているのであれば、レオンティーナにできることというのはない。

「……どうか、ご無事で」

 もっと気のきいたことを言えればいいのに。
 ヴァスロア帝国の至宝、ヴァスロアの真珠と言われても、こんな程度なのか。
 唇を引き結んだら、背中に腕が回された。
 父の腕とは違う感触に、レオンティーナは目を瞬かせる。
 ヴィルヘルムが、男性であることをこんなにも強く意識したことはなかった。

「あの、ヴィルヘルム様……」
「俺は、君が好きだよ。ティーナ」

 彼の胸に顔を押し付けられ、予想もしていなかった言葉を聞かされる。
 鼓動が跳ねて、そのまま心臓が口から飛び出すのではないかと思った。
 ヴィルヘルムの胸に顔を預けているから、彼が今の顔を見ることができないのはよかった。こんなにも頬が熱いということは、間違いなく真っ赤になっている。
 ほんのりと熱くなるなんてものではなかった。熱は耳まで侵食し、さらに頭がふわふわとしてくる。