悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~

「今の皇妃を見ていれば、それも嘘ではないのだろうな、という気がする。俺達はまだ見逃されて来たけれど、皇妃と敵対した貴族が暗殺されたという例は、今までにも何件かあった」

 ヴィルヘルムもまた、レオンティーナの言葉を信じているようだった。部屋から漏れるわずかな明かりでも、彼の表情が厳しくなっているのがわかる。

(――だとしたら)

 自分は、危ない橋を渡っていたのかもしれない。
 アンドレアスの求婚を断ったことも、皇妃の誘いに乗らなかったことも。

「わ、私は……」

 窓枠を掴んで、懸命に身体を支えようとする。ヴィルヘルムの前では、弱いところを見せたくないのに、弱くなってしまうのはなぜだろう。

「――ティーナ」

 こんな時に愛称で呼ぶなんて。
 どんどん弱いところが露呈してしまいそうだというのに、ヴィルヘルムはまったく気にかけていない様子だ。

「俺は大丈夫だ。毎晩、休む場所を変えている。そして、俺の寝室には――腹心の部下がつめることになった」
「……そう、ですか」

 ヴィルヘルムの寝室に潜む、ヴィルヘルムの部下も命がけだ。