悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~

 諦めて本を閉じた時だった。
 コンッと、窓の外で音がしたような気がして視線を巡らせる。
 ベッドに起き上がり、レオンティーナは身構えた。バルコニーに誰か立っているようだ。

(――人を呼ばなきゃ!)

 そう思っているのに、声が出ない。
 首にあたる刃の冷たさを、レオンティーナは知っている。
 前世、処刑された時の記憶が一気に読み返り、身体が動かなくなった。かけ布を身体に引き寄せ、レオンティーナはそれを握りしめた。
 そんなもの、身を守る役には立たないとわかっていても、そうせずにはいられなかった。

「レオンティーナ」

 窓の外からかすかに聞こえる、レオンティーナの名を呼ぶ声。
 ――その声は。
 レオンティーナは身体を隠そうとしていたかけ布を投げ捨て、はだしのまま窓に駆け寄った。

「ヴィルヘ――」

 上がりかけたレオンティーナの声を、ヴィルヘルムは簡単に封じた。
 人差し指を、レオンティーナの唇にあてがうことで。

「……夜遅くにごめん。どうしても会いたかったから」

 細くあけられた窓から、ヴィルヘルムは申し訳なさそうに笑いかける。レオンティーナは言葉を失ってしまった。