悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~

 父に問われても、自分の願いなんてわからない。
 今、ヴィルヘルムに嫁ぎたいのかと問われると、返答に困ってしまう。ヴィルヘルムから髪飾りを贈られた後も、そこからは目を背け続けてきたのだ。

「わ、私は……」

 自分は、どうしたいのだろう? スカートをぎゅっと握りしめ、父の顔を見上げる。
 父の瞳に映る自分自身の顔は、とてつもなく不安そうに見えた。

(私は、こんな顔をしていたの……?)

 目を瞬かせれば、こらえきれなかった涙が落ちる。こんなにも弱くなるなんて、考えたこともなかった。

「ティーナ」

 名前を呼んでくれる父の声は優しい。こらえきれずに、父に抱き着いた。

「わ、私は……ヴィルヘルム様に死んでほしくない……!」

 心からの叫び。こんな声で、誰かに心情を訴えかけたこともなかった。

 前世では、顔を知っているというだけの相手だった。
 彼の弱さを、心のどこかでさげすんでもいた。
 けれど、今は彼に側にいてほしい――心から、そう願っている。

「わかった。私に任せておきなさい」

 泣きじゃくるレオンティーナの背中を、父の手がゆっくりと上下する。