八歳の頃、養護施設の不正を暴いたこと、ケルスティンの命を救ったことからレオンティーナの名は広く知られるようになった。
 マレイモの栽培方法を研究しているグラナック博士を援助したのがレオンティーナであるという事実も国中に知られている。
 そして、レオンティーナの名とともに、父の発言力も、増大している。
 帝国がこれからどう変化していくのか。自分の目で確認してもいい頃合いかもしれない。
 次に、レオンティーナは父からの手紙を開いた。これは今日届いたものだ。
 父からの手紙を読む前に、ヴィルヘルムからの手紙を読み返していたのは覚悟を決めたかったからだ。
 父からの手紙を読み、自分の予感が間違っていなかったことに思い至る。
『そろそろ、君のデビューの準備を始めないといけない。近いうちに、ロアまで出てこられないかな』

 父からの手紙にもそう書かれている。

(ほら、お父様もそう思っているみたい)

 父とレオンティーナの考えはぴたりと一致している。

(お母様とハイラムも一緒に行くだろうし、今回は楽しくなりそう)