「そ、それで…その、特訓って言うのは?」



ファンであることがバレたショックが大きすぎて、フラフラと椅子に腰かけると、成宮も近くに座った。


こっちは色々手いっぱいだってのに、涼しげな顔して。


いつの間に戻ったの?


さっきの笑顔とか、幻覚だったんじゃないの?って思うくらい。



「仕事のことなんだけど」


へぇ、意外…



成宮に仕事の相談を持ちかけられるのは初めてだし、


いつもそつなく、スマートにこなしてるから、悩みなんて1つもないと思ってた。



成宮も普通の人間だったんだ…



仕方ない。



めちゃめちゃ上から目線だけど、今は自分のことより、こっちを優先しよう。



ここに来た目的をすっかり忘れたまま、わたしは真剣に耳を傾ける。