「ゆずきはさっき、好きだって言ってくれたけど、俺は、愛してる……から」

「っ!!」


一瞬、息がとまったかと思った。

目を細めて満足そうに笑うその顔は、またもや、からかいを含んでいるようなもの。

「み、みずっ……」


─────キーンコーンカーンコーン。


「あ、チャイム鳴った。
急ぐぞ」

固まるわたしの横を通り過ぎて、歩いていく瑞稀。


あーあ、ほんとずるいなぁ……

無愛想で、意地悪で。

でもそんな所も全部が大好きで。


「ねぇ、瑞稀。
わたしも─────」


廊下の先を行く瑞稀の背中を追いかけて、その手を取って言った。


“ わたしも、愛してるよ。

この先も、これからもずっと ”



Fin ✧‧˚