自分の声を、武器に……
始めは何を言っているのか、分からなかった。
だけど、嫌いなこの声を、好きになれるかもしれない。
あの子たちのことを、見返せるかもしれない。
そう思ったら、今までの苦しさなんて、いつの間にか消えていた。
【声優】という仕事があること。
自分の声を自由自在に操って、画面の中のキャラを演じること。
始めは薦められて、興味本意で始めたものが、いつしか好きに変わっていって。
自分の声も、だんだん好きになれる気がしていた。
でもそれは声優の、“ 月城ゆき ”としての自分。
素の声を出したら、またあの時と同じ思いをするかもしれない。
もう二度とあんな思いはしたくない。
そう思ったら、学校の友達の前では、声を作るようにしていた。



