密室でふたり、イケナイコト。


声を荒げるりみっちに、何も言うことができない。


「しばらく、ゆずきと口聞きたくない」

「ごめん、ゆずちゃん。
私も……」


そう言うと、2人はそのまま立ち尽くすわたしの横を通りすぎると、教室の方へと歩いていった。


なんで、どうして……


去っていく足音が聞こえなくなった瞬間、ふらっとして、その場にしゃがみ込んだ。


2人がNAMI様のことを話してるときに、心の中で笑ったことなんて、1つもない。



優越感に浸るなんてこと、したことがない。


だけど、そういう風に思われてたのは全部、全部、わたしのせい。


わたしが声優で、月城ゆきだってことを、話さなかったから。


わたしが、いつまでも過去を引きずってるから、言えなかっただけ。



手から、ポロっとポッキーの箱が滑り落ちた。


ピンク色のパッケージがみるみるうちに、ぼやけていく。


ぜんぶ、わたしが悪いんだ……


そう思ったら涙が止まらなくて、誰も来ないのをいいことに、その場にずっとしゃがみ込んでいた。