「また、春名の話?」

一瞬不機嫌な顔になったけど、すぐに教えてくれた。

「アイツの親戚がこの学校の偉い人とかなんとかで、そこら辺は大丈夫だって聞いたことあるけど」

「ええっ!!?」

「本当は、もっと前に、春名のことを話せば良かったんだけど、アイツ…このことがバレたら、普通の男子高校生に戻れって言われてるらしくて、言えなかった」

「そ、そうなんだ……」


だから、時々春名くんのことで、何か言いたそうにしてたのか……

なんだかんだ言って、成宮も春名くんのこと、大事に思ってるからなんだろうな……

にしても、春名くんの家って、とんでもない人多すぎ!!

「はい、じゃあ答えたから、もういいだろ」


ご、強引すぎるよっ!!


「で、でもっ……!!」

「聞きたいことは全部あとで聞くから。
今はとりあえず、ゆずきにふれたい」

「っ……」

目を閉じる前に見えたのは、わたしの大好きなニッと笑った顔だった。


落とされる熱。

熱に浮かされたかのように、何度も何度も呼ばれる名前。


唇が離れる度に囁かれる“ 好き ”の数。


クラクラと溶けそうなくらい甘すぎる成宮に、いつの間にかわたしも夢中でしがみついていた。