「ゆずき、その顔めちゃめちゃ可愛い……」

そっと頬に当てられた手に重ねるようにして、わたしも手を合わせる。

絡み合う視線。

ゆっくりゆっくり近づく距離。

その視線はまっすぐわたしの唇を捉えていて。


キス、される……


ドキドキと高鳴る心臓。

熱のこもった甘い視線から逃れるようにそっと目を閉じる。

キスされるのはもう何度目かだけど、緊張でおかしくなりそう……。


「………」


ん……?

けれどいつまで経っても、それはなくて。

不思議に思って目を開ければ、クツクツと笑う成宮がいた。


「えっ、はっ……!!?」


「もしかして、期待した?」

「な、ななっ……!!」


口角をあげて意地悪に笑う成宮。

だ、騙されたっーーーーー!!!!??


恥ずかしい、恥ずかしい!!!

頭が沸騰しそうなくらい、熱い。


てっきりキスされると思って、一人で目閉じて、待ってるとか!!!

完全にキス待ち状態だったじゃん、わたし!!

してやられたっ!!!!


「ゆずきが可愛くて、つい」

「ば、バカっ……!!!」


真っ赤になってる顔を見られたくなくて、ポカポカと成宮を叩けば、その手を取られて、抱き上げられた。