それから、あれよあれよというままに、気づいたら声優になっていた。
俺の親は、めちゃめちゃ喜んで背中を押してくれたけど、正直あまり興味がなくて。
ただ受ける仕事をこなしていた時に、
────ゆずきに出会った。
「わたし、……に?」
「ああ」
覚えていない、そう言わんばかりの顔で見つめてくるゆずき。
そんな姿も可愛いなと思いつつ、話を続ける。
「デビューしてから数カ月経った頃だったかな」
オーディションで勝ち取った初めての主演。
主演か……
なんて、軽い気持ちで臨んでいたけど、初めての主演で実際はとても嬉しかったことを覚えている。
順調に収録が進んでいくかと思いきや、たくさんの嫌味を言われた。
俺が主演になったために、モブのキャラを演じることになった人たちに。



