「それにお前となんかキスするわけないだろ。
ゆずき。それ見たのって、土曜の話?」
「えっ、う、うん……」
わたしに向けられたそのまなざしは、怒りを含んでない、優しい色をしていて、胸の内があたたかくなる。
でもそれはほんの一瞬で、またすぐに春名くんに鋭い視線を向ける。
「あの時、目にごみついてるとか言うから、てっきりそうなのかと思ってたけど。
ふーん?まさか、ゆずきにキスしてるように見せるためとはね」
それを聞いた途端、ガクッとうなだれる春名くん。
そっか。
そうだったんだ……
キス、してなかったんだ……
その事実にホッとする。
暗かったし、角度的にも、勝手にそうだって思い込んでただけなんだ、わたし……
まあ、あの時春名ちゃんの姿を見て落ち込んでたし、後ろ向きな気持ちだったもんね。



