「い、いいよ、別に!!」
「なんで」
「わたしは家までもう少しだからいいけど、成宮はまた電車乗らないといけないでしょ?」
だから……、と成宮につき返そうとすれば頭をわしゃわしゃと拭かれてしまった。
ちょっ…、髪型崩れる!!
まあ、この雨だし、帰るだけだから気にしてもしょうがないんだけどさ……
「俺は別にいいんだよ。
それより、お前が風邪引くほうが困る」
そう言って、次は優しく拭いてくれる。
「困るって……、わたしが熱出て学校休んだとしたら、会えなくなるから?なーーんて……」
「そうだけど?」
「っ!!」
拭いていた手を止めて、顔を覗き込んできた。
じょ、冗談で言っただけなのに、そんな真剣な顔で返されるとは……
「好きなやつには毎日会いたいし、触れたいのは当然だろ」



