「隣は、あの有名な片瀬ゆずきちゃん?」
あの有名なって、なに?
「は、はいっ…そうです」
「瑞稀の、彼女?」
「そうですけど……」
ん?
なんだろう、この空気……
つないでる手に一瞬鋭い視線を向けたと思うと、上から下まで舐めるように見つめられた。
こんな美人な子に見られたら、さすがにいたたまれないんですけど……
もしかして、この子……
「私のことは春名って呼んでね、ゆずきちゃん!」
「う、うん……」
「じゃ、私もう行くから。
瑞稀、またね」
「ああ。
じゃーな」
そう言ってわたしの横を通り過ぎる、ほんの一瞬。
「瑞稀は渡さないから」
「っ………!」