「あのさ、成宮……」


「ん?」


「……この手、離してくれない?」


さわさわとわたしの頬を行ったり来たりする手。


心配してくれてるのは十分分かってるんだけど、なんだか変にくすぐったい。

胸の内がムズムズする、みたいな。


「それは無理」


「な、なんでっ……!?」


「今日は存分に甘やかそうかと思って」


空いてる方の手で頬杖をついたまま、口角を上げて慌てるわたしを楽しんでるようで。


昼休みのしんみりとした空気がなくなって嬉しいけれど、いつもの成宮が復活したということは……

ドクドクと心拍数が上がっていく。


「あ、甘やかすって……」


なんでまた急に……