密室でふたり、イケナイコト。



「ひゃっ…!つめたっ…」


体育館裏を離れて、中庭にやってくると、

成宮は近くにあった水道でハンカチを濡らして、わたしの頬に当てる。


「痛かったよな、本当ごめん」


ハンカチの上からそっと撫でられるその手はやっぱりわたしを安心させる。


……ドキッ


その目はいつもみたく、意地悪そうに笑ってなくて。

さっきまでの相沢さんたちに対しての怒りが全く見えないくらい優しい色をしていて。


心から謝ってる、みたいな。


成宮がこんな顔するのは珍しい…


なんか、変な感じ……

心配そうにゆらゆらと揺れるその瞳を見ていられなくて、ハンカチを押し当てたままふいっと視線を逸らす。


そんな表情しないでよ……

余裕がない、みたいな。

わたしの方が調子狂っちゃう…