区役所に届出を出した私達は、横浜に向かっていた。


新しい戸籍ができるのは、年明けになるとの事で。
 


「色々な手続きは、来年だね。」


と智くんが言う。
 


「うん。でも、もう廣澤麻有子だよ。」


と言う私の手を握ってくれた。
 



お父様に頂いたお小遣いは 10万円も入っていて。

驚いて気後れする私に
 

「いいの。あげたいんだから。免税店でバッグでも買おうね。」

と智くんは言う。
 


「私、こんなにしてもらって。みんなに可愛がってもらって。いいのかな。」
 


「麻有ちゃんが すごく俺の事を 大切に思ってくれるから。それが みんなにわかるから。だから、みんな麻有ちゃんに 感謝しているんだよ。」


智くんの言葉に、私は 涙が滲んでしまう。
 

「もちろん、俺もね。麻有ちゃんの愛を 一番感じているのは俺だよ。こんなに愛されて 俺は最高に幸せだよ。」



智くんの思いは、そのまま私の思いで。



どうして二人は、こんなにも 同じなのだろう。

私は、感動で震えながら 涙を流した。