イケナイ王子様

「断る」


えっ⁉︎


ま、まさかの『断る』発言……!


なんの迷いもなく『断る』と言われるとは思わなかった。


「な、なんで断るって……」


「決まってんだろ。


愛海が好きだから」


「……っ‼︎」


『好き』


そのひとことで、さらに顔が熱くなった。


あらためて『好き』って言われると、なんかドキドキする……。


「で、でも、お風呂場の掃除は……」


「そんなのあとにしろよ。


俺の彼女なら、俺のわがままに付き合えよ」


な、なぜ上から目線……?


そう思ったが、翔さんに“彼女”と言われたことにドキドキして、疑問をぶつける余裕がなかった。


翔さんの腕が、私の首にまわる。


もう少しだけ、このドキドキにひたりたい。


「はい……」


私がひかえめにうなずくと、翔さんは満足そうな顔をした。